図面を読み、情報を整理し、プレゼン資料をつくり、3Dモデルを生成し、工程を組み立てる。生成AIの進化によって、「建築の仕事でAIに任せられること」は、この1年だけでも大きく広がっています。
その一方で、AIから出てきたものが建築として正しいとは限りません。動線がおかしくないか、構造や法規に問題がないか、施工できるのか、コストは成立するのか。最終的には、建築を知る人間が見て、判断し、修正する必要があります。
そんな「AIに何ができるか」だけではなく、建築実務のなかでどう頼み、どう直し、どこを人が判断するのかまで掘り下げる「第2回 実務で使えるAI×建築セミナー」が、2026年9月27日(日)13:00〜16:00にオンラインで開催されます。
講師は、一級建築士事務所 Archi-Prisma Design works株式会社代表取締役社長の櫻本聖成氏。建築設計に携わりながら、法人向けAI顧問・研修・導入支援、AIシステムの受託開発などに取り組み、建築実務とAIの両方から活用方法を検証してきました。今回の3時間では、この1年間に実際に試してきた図解、プレゼン資料、3D、工程表などの制作事例をもとに、「いま建築の仕事で何ができるのか」を共有します。
今回の第2回セミナーの背景にあるのは、AIそのものの急速な変化です。
第1回「実務で使える AI×建築セミナー」が開催されたのは2025年9月28日。それから約1年の間にも、文章や画像を生成するだけではなく、図解、プレゼンテーション、3Dモデル、工程情報など、建築実務へ接続できるAIの使い方が増えてきました。主催者は今回の内容を、「AI×建築、この1年分を3時間で。」というテーマで紹介しています。
すべてのAI技術を3時間で習得することを目的とした講座ではありません。むしろ、この1年間でどこまで技術が進み、現在どんなことを実務で試せるのかをまとめて見ることで、「自分の仕事ならどこから使えるのか」を考える時間です。
生成AIをほとんど触ったことがない人も参加可能。日々AIを追いかけている人だけではなく、「興味はあるけれど、建築で何に使えばいいのか分からない」という人にも入口になる内容です。
建築の仕事では、建物そのものを設計する時間と同じくらい、「設計意図をどう伝えるか」に時間を使います。
施主へのプレゼン資料、社内説明用の図解、コンセプトダイアグラム、イベントやプロジェクトのパンフレット。情報を整理し、相手が理解しやすい順番へ組み直し、図と文章を整えていく仕事です。
Archi-Prismaでは、生成AIを使ってこうした図解やプレゼンテーションを制作する検証を公開しています。例えば建築の形態操作を複数段階に分けて説明するダイアグラムでは、完成画像を一枚生成して終わるのではなく、後から文字や図形を修正できるSVGデータとして残す方法まで試しています。
重要なのは、「きれいな資料をつくって」とだけ頼むのではなく、誰に見せるのか、何を理解してほしいのか、どんな順番で説明するのかまでAIへ渡すこと。今回のセミナーでは、そうしたAIへの頼み方と、出てきた成果物を実務で使えるものへ直す方法もテーマになります。
生成AIと建築というと、まずイメージパースを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、現在の活用は「きれいな建築画像を生成する」だけではありません。
Archi-Prismaでは、架空の商業施設を題材に、建物・テラス・広場から店舗内部までを含む3DモデルをAIとBlenderを組み合わせて制作する検証も行っています。外観画像だけを生成するのではなく、編集可能なBlenderデータやブラウザ上で確認できる3Dデータとして残し、後から形や素材を変更できる状態までつくっています。
設計実務で重要なのは、最初のアウトプットが完成形ではないことです。建築では、施主の要望や法規、構造、コストなどに応じて何度も変更が発生します。
だからこそ、AIを使う場合にも「一枚の画像をつくる」だけではなく、修正できるデータとして受け取れるのか、その後の設計作業へつなげられるのかという視点が必要になります。
これまで櫻本氏が発信してきた事例のなかでも、大きな反響があったのが積算へのAI活用です。
公開されている事例では、125枚の図面情報をAIに整理させ、約50分で概算を算出するアプローチを紹介しています。ただし、これはAIが自動的に正確な積算を完成させるという意味ではありません。数量や算出根拠は、最終的に人間が確認することを前提としています。
膨大な図面を読み、一からすべてを拾う前に、AIに情報を整理させて初期の「あたり」をつける。そこから建築の知識を持つ人が確認・修正することで、作業の進め方そのものを変えられる可能性があります。
設計だけでなく、施工、積算、PMなど、AIが影響を与え始めている領域が広がっていることも今回のセミナーで注目したいポイントです。

クレジット:Archi-Prisma Design works
建築プロジェクトでは、一つの作業が遅れると、その後に続く複数の工程へ影響します。
Archi-Prismaでは、仮想案件の129工程を使い、AIを活用して工程同士のつながりや遅延の影響を確認する検証も公開しています。単純に工程表の文字をAIに書かせるのではなく、各タスクの前後関係を整理し、「この工程が遅れた場合、どこまで影響するのか」を考えるための補助として使う試みです。
施工管理やPMにとって、AIは現場判断を代替するものではありません。しかし、情報量が多いプロジェクトほど、議事録、工程、タスク、現場報告などを横断して整理する作業には時間がかかります。
AIに情報整理を補助させ、人間は「何を優先するか」「どこを調整するか」という判断へ集中する。そうした役割分担も、これからの建築実務で考えるべきテーマの一つです。
今回のセミナーで特に重要なのが、「AIでここまでできる」という話だけで終わらないことです。
Archi-Prismaが公開している検証事例では、AIが生成した建築図解のなかに、階段を上がった先に十分な床がないという問題が発生したケースも紹介されています。一見すると整った図でも、人が実際に歩くことを考えて見直すと、おかしいことに気づきます。
そこで必要になるのが、建築の経験です。
「もっと良くして」とAIに伝えるだけでは、どこがおかしいのかは正確に伝わりません。どの動線が成立していないのか、どこに床が必要なのか、何を変えずに修正するのか。問題を建築の言葉で特定して指示し、修正された結果をもう一度確認する必要があります。
AIが高度になるほど、建築家や技術者に求められるのは「何でも自分で作業する能力」だけではなく、条件を与え、出力を読み、問題を見つけ、判断する能力になっていくのかもしれません。
建築は、見た目のデザインだけでは成立しません。
法規を満たしているか。構造的に成立するか。実際に施工できるか。予算内に収まるか。そして、人が安全に使えるか。
生成AIがつくった画像やモデルがどれほど魅力的でも、それだけで実際の建築になるわけではありません。公式のセミナー案内でも、法規・構造・施工・コストなど、建築に必要な判断とAIをどう組み合わせるのかを考える内容として紹介されています。
AIへ任せるところと、人間が確認するところを曖昧にしないこと。その境界を理解することも、建築業界でAIを使うための重要なリテラシーです。
「AIに仕事を奪われるのか」という話だけではなく、AIを使えるようになったことで、建築の専門家がどこへ時間を使えるようになるのか。今回のセミナーは、そんな視点からこれからの建築実務を考える機会でもあります。
講師を務めるのは、櫻本聖成氏。
一級建築士事務所 Archi-Prisma Design works株式会社 代表取締役社長、Archicad正規販売代理店 archisoft株式会社 代表取締役社長を務めています。
建築設計の実務と並行して、法人向けAI顧問・研修・導入支援、AIシステムの受託開発に取り組み、東京建築士会主催のAI×建築セミナーにも単独登壇。「AIで建築業界を変える」をテーマに、Instagramなどでも建築実務におけるAI活用を発信しています。
Archi-Prismaでは、議事録、図面確認、工程管理、ARなど建築業務に関連したAI・デジタルツールの開発や、企業へのAI導入支援も展開しています。単なるAIサービスの紹介ではなく、実際の建築業務のなかで「どこまで使えるのか」を検証していることが特徴です。
第1回「実務で使える AI×建築セミナー」は、2025年9月28日に開催されました。
そこから1年。生成AIのモデルも、扱えるデータも、建築業務への応用方法も変化しています。主催者が公開している前回参加者アンケートでは、実演を見ながら自分でも試せたことや、建築での新しい活用方法を考えるきっかけになったことなどが参加者から挙げられています。
今回の第2回は、前回の続編ではありますが、初めて参加する人も歓迎されています。
「去年のAI活用方法を知らないと理解できない」という内容ではなく、2026年時点で何ができるようになり、実務ではどう使えるのかを改めて整理する3時間です。
開催は2026年9月27日(日)13:00〜16:00。オンライン形式のため、全国どこからでも参加できます。
また、当日参加できない方もアーカイブで視聴可能です。日曜日の午後に予定がある人や、リアルタイムでは3時間確保することが難しい実務者も申し込むことができます。
参加費は現在5,000円。先着30名を対象としていた早割枠は、規定人数に達したためすでに受付を終了しています。公式サイトでも現在は通常価格5,000円として案内されています。
AIそのものを学ぶだけではなく、「自分の設計、施工、BIM、不動産の仕事ならどこで使えるか」を考えてみたい人にとって、建築AIの現在地をまとめて知る機会になりそうです。
・生成AIを建築実務で使ってみたい方
・設計事務所で働く建築家・設計者
・ゼネコンや工務店で施工・施工管理に携わる方
・BIM・CADを使っている方
・不動産やデベロッパー業務に携わる方
・AIで図解やプレゼン資料をつくってみたい方
・AIを3D・BIM周辺の業務へ活用したい方
・積算や工程管理へのAI活用に興味がある方
・AIに任せられる作業と、人が判断すべき仕事の境界を知りたい方
・建築を学んでいる学生
・AIをほとんど使ったことがなく、建築で何から始めればいいのか知りたい方
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