
宇宙空間における電子ビーム溶接を用いた大型構造体の建設サービスを提供するスタートアップ。❝人類が宇宙を生活圏とし可能性を広げ続ける世界を作る❞ことをビジョンに、次世代の宇宙建設技術の開発を行う。東北大学の宇宙構造体の権威である槙原教授、電子ビーム溶接の権威であるParis saclay大学Minae教授をはじめ、世界トップクラスの専門家チームを有する。国内では、内閣府主催(JAXA・NEDO共催)のアジア・オセアニア地域の宇宙ビジネスアイデアコンテストS-booster2022において、スカパーJSAT賞を受賞。
近年、民間企業の参入で盛り上がりを見せる宇宙ビジネス。
しかし、その発展には知られざる大きな壁があります。それは「建物のサイズ制限」です。これまで宇宙の構造物は「地球で完成品を造り、ロケットに乗せて運ぶ」という方法しかなく、ロケットの先端に入る直径4メートル程度の大きさが限界でした。
このままでは、宇宙に大人数が滞在する巨大な拠点はいつまで経っても造れません。
この人類最大のボトルネックを、全く新しい「建設の力」で解決しようとするスタートアップが存在します。
株式会社Space Quartersが挑むのは、建材のパネルだけを宇宙へ運び、自律型のロボットの連携によって「宇宙空間で直接建てる」という革新的な建設技術です。
ここで最大の鍵となるのが、部材同士を繋ぎ合わせる「電子ビーム溶接」の採用です。実は、地上で主流のレーザー溶接を真空の宇宙で行うと、熱が逃げずに機材が過熱してしまい使い物になりません。
しかし、電子ビーム溶接ならエネルギーの約90%を入熱でき、圧倒的な効率を誇ります。地上では高コストになる特殊な技術が、真空の宇宙空間では「最強の建設手段」へと姿を変えるのです。
環境が変われば、最適な工法も全く異なるという、モノづくりの奥深さがここにあります。

宇宙で巨大なものを直接建設できるようになれば、宇宙ビジネスの「投資対効果」は劇的に改善します。
現在、SpaceX社などが100人を運べる大型輸送船を開発していますが、受け入れ先となる国際宇宙ステーション(ISS)は数人しか滞在できません。もし建設技術によって100人規模の宇宙拠点や巨大な通信アンテナが完成すれば、一度に大量の人や物資を運べるようになり、輸送コストは桁違いに下がります。
コストが下がれば、無重力空間を活かした新薬の開発や、半導体製造、新しいエンターテインメントなど、これまで採算が合わなかった多様な産業が宇宙で爆発的に生まれます。建設とは単なるハコづくりではなく、新たな「経済圏」を生み出す原動力なのです。
私たちが地球で長年培ってきた「モノづくり」やハードウェアの「すり合わせ技術」は、環境の制約を逆手にとることで、宇宙という無限のフロンティアを開拓する強力な武器になります。
宇宙開発はもはや一部の専門家や巨大IT企業だけのものではありません。次世代の建築パーソンである皆さんのアイデアと技術が、人類の新たな「生活圏」をデザインする未来は、すぐそこまで来ています。
本記事のより詳しいインタビュー内容は、ARCHIES Vol.6でお読みいただけます。

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