
1947年北海道大学津軽町に開拓民の3世として生まれる。1966年弘前大学入学、学生運動に参加したことから退学となり上京、『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザインとアニメーションディレクターを担当、『クラッシャージョウ』で劇場版アニメの監督を務め、テレビアニメ作品では自身が原作の『巨神ゴーグ』を生み出す。後に漫画家に転身し『アリオン』『ヴイナス戦記』『クルドの星』『ナムジ』『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN』他を精力的に発表。2025年3月より、集英社週刊ヤングジャンプにおいて『銀色の路ー半田銀山異聞ー』の短期集中連載を開始。
日本が誇るSFアニメ『機動戦士ガンダム』。
増えすぎた人口を宇宙に移民させるという壮大な設定は、多くの人に「未来の居住空間」への憧れを抱かせました。
しかし、キャラクターデザイン等を務めた安彦良和氏は、「あの設定には大きな間違いがある」と語ります。広大な宇宙空間のスペースコロニーに、豊かな緑と「戸建ての家」が立ち並ぶ風景。
一見すると理想的な街づくりに思えますが、建築や不動産開発のビジネス視点から冷静に考えると、そこには決定的な「コストと空間効率の矛盾」が潜んでいるのです。
地球外に都市を建設し、それを維持するためには、現代の不動産開発とは桁違いの莫大な投資が必要です。
安彦氏は、「とてつもない資金をかけたコロニーで、贅沢な土地の使い方(戸建て)が許されるはずがない」と指摘します。 現実的に考えれば、宇宙へ行けるのはその巨額のコストを負担できる「超富裕層」に限られます。そして、限られた居住スペースでインフラを効率的に維持するためには、地中海の小島のように人々が肩を寄せ合う「重層的な集合住宅」にならざるを得ないのです。
夢の世界の建築であっても、そこに「お金」と「物理的制約」が存在する以上、シビアな経済合理性とマーケティングの原則からは逃れられません。未来の建築パーソンにとって、これは決してSFの中だけの話ではないのです。

さらに重要なのは、どれほど建築技術が進化し、新たなフロンティアを開拓しても、人間がそこに住む限り「争い」は避けられないという歴史の真実です。
縄文時代の三内丸山遺跡には、天体観測のやぐらや巨大な集会場はあっても、戦争のための防衛施設はありませんでした。しかし、農耕が始まり「富の蓄積」と「縄張り」が生まれた途端、人類は争いを始めました。
これは最先端の宇宙都市開発でも同じです。圧倒的な技術力で素晴らしい建築物を建て、高い利益を上げるビジネスモデルを構築しても、「強い者が自制できない」人間の性を理解していなければ、そこは新たな格差と争いの火種を生むだけの場所になってしまいます。
建築とは、単に器を作るだけでなく、人間の本質と向き合う仕事でもあるのです。
私たち建築・建設業界に関わる者は、つい「最新の技術」や「効率的な開発」ばかりに目を向けてしまいがちです。しかし、どれほど時代が進んでも、その空間を使うのは「感情を持った人間」です。
過去の歴史から人間の性質や、かつて存在したおおらかな「豊かさ」を学ぶことは、未来の都市やビジネスをデザインする上で欠かせない視点となります。ただ建物を建てるのではなく、歴史的視点から「人間の生きる場」を構想できる建築パーソンを目指してみませんか?
本記事のより詳しいインタビュー内容は、ARCHIES Vol.6でお読みいただけます。

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