建築展を、ただ「見る」だけで終わらせず、建築家本人と一緒に巡りながら、その作品がどのような思考やプロセスから生まれたのかまで掘り下げる。WHAT MUSEUMで開催中の展覧会「波板と珊瑚礁―建築を遠くに投げる八の実践」の関連イベントとして、ギャラリーツアー&クロストークが2026年8月30日(日)に開催されます。
ゲストとして迎えるのは、DDAA / DDAA LAB代表の建築家・元木大輔氏。展覧会に出展しているDOMINO ARCHITECTSの大野友資氏、展覧会企画協力者の砂山太一氏とともに、16:30から展示会場を巡るギャラリーツアーを行い、その後17:30からは場所を移して三者によるクロストークを実施します。建築を「完成した形」として見るだけではなく、作品がつくられるまでの思考や方法、その背後にある建築観まで知ることができる2時間です。
今回のイベントの舞台となるのは、WHAT MUSEUMで開催中の「波板と珊瑚礁―建築を遠くに投げる八の実践」。主に2010年代以降に活動を始めた8組の建築家が参加し、それぞれ異なる方法で「建築とは何か」を問い直す展覧会です。
ギャラリーツアーでは、8組の作品を実際に巡りながら、それぞれの鑑賞ポイントや見どころを紹介します。それぞれの建築家が何を考えて展示をつくっているのかを、建築家や企画者の視点を通して読み解いていきます。
模型や図面を完成した建築の説明資料として見るのではなく、建築家が何を問い、どう考え、どのような方法で建築へ近づいているのかを見る。今回のツアーは、展覧会そのものを「設計プロセスを読む場所」として体験できる機会になりそうです。

ギャラリーツアーの中でも注目したいのが、出展建築家であるDOMINO ARCHITECTS・大野友資氏本人による展示解説です。作品が完成した後の解説だけではなく、どのように制作を始め、どのような試行錯誤を経て現在の展示へたどり着いたのか、その背景やプロセスについて大野氏自身が語ります。
建築展では、最終的に展示された模型や映像、インスタレーションを見ることはできますが、途中でどのような案が生まれ、何を選び、何を捨てたのかまでは必ずしも見えてきません。設計者本人から制作過程を聞くことで、展示されている「結果」だけでなく、その背後にある思考の流れまで理解できるのが今回のツアーの面白さです。
建築を学ぶ学生にとっても、完成した作品を模倣するのではなく、「建築家がどう考えているのか」を知ることは、自分自身の設計課題や卒業設計に向き合ううえで参考になりそうです。
17:30からは会場を移し、元木大輔氏、大野友資氏、砂山太一氏によるクロストークが開催されます。それぞれ建築設計、デザイン、リサーチ、デジタル技術などを異なる方法で横断してきた3名が、展覧会を入口に建築について議論します。
元木大輔氏は、スキーマ建築計画を経て2010年にDDAAを設立。2019年には、実験的なデザインとリサーチを行うDDAA LABを立ち上げています。完成した建築物だけに設計の対象を限定せず、家具、プロダクト、空間、リサーチなどへ活動を広げながら、建築的な思考をさまざまなスケールへ展開してきました。
大野友資氏は、東京大学で建築を学んだ後、ポルトガルのカヒーリョ・ダ・グラサ・アルキテットス、東京・台北のnoizを経て2016年に独立。DOMINO ARCHITECTSとして活動しながら、東京藝術大学などで教育にも携わっています。
砂山太一氏は、SUNAKI Inc.代表、京都市立芸術大学准教授。建築、美術、デザイン、デジタル技術を横断しながら、情報と物質の関係をテーマに企画、批評、制作、空間設計を行っています。新建築データのディレクターとして建築アーカイブとデジタルメディアの開発にも携わるなど、「建築をつくる」ことの範囲そのものを広げている人物です。
異なる経歴を持つ3名が同じ展覧会を見ながら何を感じ、現代の建築実践をどのように捉えるのか。作品解説だけには収まらない議論が期待できます。
展覧会タイトルの「建築を遠くに投げる」という言葉も、今回のイベントを考えるうえで重要です。建築と聞くと、建物を設計し、図面を描き、実際に施工することをイメージします。しかし、「波板と珊瑚礁」に参加する建築家たちの実践は、必ずしも建物だけを対象にしているわけではありません。
模型、映像、デジタル技術、リサーチ、身体、都市、素材、社会との関係など、建築的な思考をさまざまな方向へ投げながら、その先に何が生まれるのかを探っています。建築という専門領域の内側だけで考えるのではなく、異なる分野へ接続しながら、逆に「建築とは何なのか」を問い直しているとも言えます。
今回のギャラリーツアーでは8組の実践を実際に見ながら、その違いを比較できます。そしてクロストークでは、それらをさらに別の建築家・企画者の視点から読み替える。展示とトークを続けて体験することで、「自分なら建築をどこへ投げるのか」を考える機会にもなりそうです。

美術館や建築展は、一人で静かに鑑賞することもできます。しかし、同じ作品を見ても、建築家、研究者、学生、一般の来場者では、気になる部分や読み取り方が大きく異なります。
今回のギャラリーツアーでは、出展者本人や異なる実践を持つ建築家、企画協力者と一緒に展示を見ることで、「そんな見方があったのか」と、自分一人では気づかなかった視点に出会えることも魅力です。特に建築学生や若手設計者にとって、作品そのもの以上に、建築家がどこを見て、何を問い、どのように言葉にしているかを聞くことは、設計の見方を広げるヒントになります。
トークイベントだけに参加するのではなく、その直前に同じ展示を一緒に見ているからこそ、その後のクロストークで語られる内容を具体的な作品と結びつけながら聞くことができます。
17:30から始まるクロストークについては、建築倉庫のInstagramアカウント「@archi_depot」でもライブ配信が予定されています。
現地ではギャラリーツアーからクロストークまで連続して参加できますが、東京まで足を運ぶことが難しい人や、すでに展覧会を見た人は、オンラインでトーク部分のみ視聴することもできます。
イベントは2026年8月30日(日)16:30〜18:30。16:30〜17:30にギャラリーツアー、17:30〜18:30にクロストークが行われます。
定員は先着40名で、事前予約制。料金は一般1,300円、大学生・専門学生600円、高校生以下無料で、イベントチケットには展覧会の鑑賞料も含まれています。当日は11:00の開館以降であれば好きな時間に来館できるため、イベント開始前にゆっくり展覧会を見ることも可能です。
なお、建築倉庫をあわせて鑑賞する場合は別途500円が必要で、利用できるのは16:30まで。また、ミュージアムショップも16:30までとなるため、希望する場合はイベント開始より余裕を持って来館するのがおすすめです。
・「波板と珊瑚礁」展をより深く見たい方
・建築家本人から作品の制作背景を聞きたい方
・建築展や模型を見るのが好きな方
・建築家の設計プロセスに興味がある方
・DOMINO ARCHITECTSの活動に関心がある方
・元木大輔氏、砂山太一氏の活動に興味がある方
・建築を学んでいる学生
・自分の設計の考え方を広げたい学生・若手設計者
・コンピュテーショナルデザインやデジタル技術と建築の関係に興味がある方
・現代の若手建築家がどのように「建築」を捉えているのか知りたい方
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