
現在、大学で土木工学について学びながら、建築土木専門の就職支援会社である株式会社キャリアナビゲーション(コンキャリ)と共に「ドボプロ」として活動している。「ドボプロ」は、2024年に設立された全国規模の学生団体。都内大学で土木工学を学ぶ田中氏が代表を務め、土木学生に実践的な学習機会を提供することを目的としている。
「実は僕、最初は建築に憧れていたんです」。
土木を学ぶ学生団体「ドボプロ」代表の田中佑青氏は、そう打ち明けます。この一言の裏に、いまの土木業界が抱える課題が隠れていました。
「本当は建築をやりたかった、という土木学科の学生は、意外と多いんです」と田中氏は言います。
理由は、成果の見え方にありました。建築は作品が目に見えるかたちで残り、SNSでも話題になる。だからこそ評価もされやすい。一方の土木は、道路や橋、上下水道など、生活に欠かせないのに目立ちにくい公共の仕事が中心です。学生が魅力を実感する前に、土木への興味を失ってしまう——そんな構造が、田中氏の問題意識の出発点でした。
では、なぜ興味は失われるのか。田中氏は根っこをこう見ています。
大学2年まで、構造力学や水理学、地盤力学といった「土木工学の3力」をひたすら計算で学ぶ。けれど「これが何の役に立つのか、と思ってしまう」。インターンに行っても、分業化されたコンサル会社では書類整理で終わることが多い。学んだ知識が社会でどう活きるのか、実感できないのです。
「大学では教えてくれない、現場の知識がある。学生が主役になって、何かを作り上げる。そんな場を提供したかった」。
こうして生まれたのが、学生主導の実践プロジェクトでした。

ドボプロの実践は、規模も本気度も学生の枠を超えています。
象徴的なのが、千葉県大多喜町での取り組みです。約5,000㎡の農地の用途変更を伴う本格的な開発事業で、測量・設計から法的手続き、施工管理までを学生主導で一気通貫。ほかにも、子どもに建設の楽しさを伝える体験イベント、フィリピンやネパールでの井戸掘りやインフラ支援など、活動は国内外へ広がります。
土木と建築、両方の学生が街を歩くと、見えるものが違うといいます。土木の学生は「この構造がすごい」、建築の学生は「このデザインが美しい」。「土木は”強さ”を、建築は”美しさ”を見ている。教え合えば、もっと素晴らしいものが作れる」。専門の掛け合わせにこそ、可能性が宿るのです。
土木離れは、いつか始まるものではありません。田中氏は「問題の根っこは、もっと早い段階にある」と考えています。だからこそ子どもたちに「建設ってかっこいい」を届け、海外では本当にインフラを必要とする場所でものづくりをする。いろんな角度から、土木の価値を伝えていく。
学校で教わるのを待つのではなく、自分の専門を誰かと掛け合わせ、実践の場を自ら創り出す。境界線が溶けていくこれからの建設業界で、あなたはどんな役割を担い、誰と組んで何を作りたいでしょうか。
本記事のより詳しいインタビュー内容は、ARCHIES Vol.5でお読みいただけます。

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