建築を「デザインする」だけではなく、その建築をどう事業として成立させ、社会へ実現するのかまで考えてみる。建築・デザインを学ぶ大学生・大学院生を対象とした1泊2日のワークショップ「2026年度 未来の建築家たちへ―ビジネスの中でデザインすることを深掘りする2日間!」が、2026年9月3日(木)・4日(金)に開催されます。
主催は、新築住宅やリノベーション、不動産開発、宿泊施設など幅広い事業を手掛ける株式会社コスモスイニシア。会場となるのは、千葉県木更津市の旧小学校を活用したアウトドアリゾート施設「ETOWA KISARAZU」です。建築を学ぶなかでは触れる機会の少ない「ビジネス」という視点を通じて、設計やデザインをより深く考える2日間となります。
募集人数は20名。参加費は無料で交通費も支給され、宿泊に加えて1日目の昼食・夕食、2日目の朝食・昼食も用意されます。エントリーは2026年8月26日(水)18:00までです。

建築を学んでいると、「かっこいい建築をつくりたい」「人の役に立つ建築をつくりたい」「これまでにない空間を生み出したい」といった思いから、設計そのものに夢中になることがあります。大学の設計課題であれば、敷地やプログラムなどの条件を読み解き、自分なりの問いを立てながら、空間や構造、素材を考えていくことが中心になるでしょう。
しかし、建築が大学の課題から実際のプロジェクトに変わった瞬間、それだけでは建物は実現しません。建設にはどれだけのコストがかかるのか、いつまでに完成させなければならないのか、施主は何を求めているのか、その施設を誰が利用し、完成した後にどのように運営していくのか。実務では、デザインと同時にさまざまな条件を考える必要があります。
今回のテーマは、まさにその「ビジネスの中でデザインすること」。コストやスケジュール、施主の思い、事業性といった条件を単に設計の自由を制限するものとして見るのではなく、それらも含めて建築を考えることで、「建物を建てる」という行為そのものへの解像度を高めていきます。

建築学科では、意匠設計、構造、環境、都市計画など、建物を考えるための多くの専門領域を学びます。一方で、実際の不動産開発に必要となる事業計画や建築費、収支計画、不動産オーナーの視点などについて、学生のうちから実践的に触れる機会は決して多くありません。
けれども、社会の中で建築を実現するには、デザインと事業は切り離せない関係にあります。「この場所に何をつくれば価値が生まれるのか」「誰に使ってもらうのか」「どのくらいの費用をかけられるのか」「その建物をつくることで、事業として何が生まれるのか」。そうした問いに向き合いながら、デザインと事業の両方を成立させていくことも建築実務の一部です。
今回のワークショップは、建築を学ぶ学生が、普段とは違う側面から「建物を建てる」ということを考える機会です。デザインの質とビジネスの成立性は本当に相反するものなのか。条件があるからこそ生まれる設計はないのか。そんな問いを、実務に近い視点から掘り下げていきます。
コスモスイニシアでは、2025年3月にも建築学科の大学生・大学院生を対象とした実務ワークショップをETOWA KISARAZUで開催しています。全国の大学・大学院から15名の学生が参加し、4チームに分かれて2日間の課題に取り組みました。
前回のワークショップでは、同社の実際の開発案件を題材に、学生たちが利用者のニーズを踏まえながら建築を考え、さらに収支計画まで含めて「この建築が事業として成立するのか」というところまで検討しました。単に設計案をつくって終わるのではなく、事業計画と建築を行き来しながら提案を組み立てていく、実務に近いプログラムです。
建築費はいくらかかるのか。どのような収入を見込み、どのくらいの期間で事業を成り立たせるのか。その条件の中で、建築としてどこまで価値をつくることができるのか。こうした問いは、一般的な大学の設計課題とはかなり性質が異なります。
参加した学生からは、実際の事業スキームに触れることで建築と社会とのつながりを実感できたことや、設計へ経済性の視点を取り入れる新しい考え方を得られたという趣旨の声が寄せられています。今回のワークショップでも、建築をデザインだけではなく、事業や社会との関係まで含めて考える機会になりそうです。

建築学生のキャリアを考えるとき、設計事務所やゼネコンの設計部で「建築を設計する仕事」を最初に思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、実際に建築を生み出す仕事には、設計以外にも多くの役割があります。
例えばデベロッパーの仕事では、土地や建物の可能性を探るところからプロジェクトが始まります。「この場所にどのような建物が必要なのか」を考え、事業計画をつくり、設計者や施工会社、さまざまな専門家と協働しながら建築を実現していきます。さらに完成した建物をどう運営するか、利用者にどのような価値を届けるかまで含めて考える場合もあります。
つまり、建築を描く仕事だけではなく、「建築が生まれる仕組みそのものをデザインする」という関わり方もあります。今回のワークショップは、不動産開発の考え方に触れると同時に、「自分は将来、建築にどのような立場から関わりたいのか」を考えるきっかけにもなりそうです。
株式会社コスモスイニシアは、新築マンションや一戸建て、リノベーションマンションなどの住宅を扱うレジデンシャル事業に加え、投資用・事業用不動産の開発・仲介・賃貸管理などを行うソリューション事業、アパートメントホテルをはじめとした宿泊施設の開発・運営などを展開しています。
住宅を供給するだけではなく、不動産や宿泊、既存施設の活用などへ事業領域を広げながら、都市や暮らしに関わるさまざまなプロジェクトを手掛けています。今回のワークショップも、次世代を担う子どもや若者の成長を支援する取り組みの一環として行われており、同社では建築学生を対象に、不動産開発における事業収支を学ぶ機会を提供しています。
建築を学ぶ学生にとっては、デベロッパーが完成した建築を「発注する会社」なのではなく、建築が生まれる前の企画や事業計画から、その後の運営までどのように関わっているのかを知る機会にもなるでしょう。


2日間の舞台となる「ETOWA KISARAZU」は、千葉県木更津市が所有していた旧木更津市立富岡小学校を活用した施設です。多くの児童が過ごした小学校という既存ストックを、新たな利用者のための宿泊・交流施設へ転換しており、現在はアウトドアリゾートや企業研修などにも活用されています。
教室や黒板、旧職員室など、学校だった頃の面影を残した空間が活用されているのも特徴です。品川から車で約45分という立地で、企業向けのワークスペースとしても展開されています。
既存建築を壊して新しく建てるのではなく、すでにある建物の価値を読み替え、用途を変え、新しい事業として成立させる。今回のテーマである「ビジネスの中でデザインすること」を考えるうえで、会場そのものも一つのケーススタディとして見ることができそうです。

今回のプログラムは、数時間のセミナーではなく1泊2日で行われます。初日は10時過ぎに品川駅へ集合し、ETOWA KISARAZUへ移動。2日目は18時頃に品川駅で解散する予定です。
同じ場所に滞在しながら課題について考えることで、短時間の講義では得にくい濃度で、建築や不動産開発について考えることができます。参加者同士の議論や、普段は異なる大学で建築を学ぶ学生との交流も、この形式ならではの魅力になりそうです。
大学の設計課題から少し離れ、建築を社会へ実装する立場から考えてみること。そして、自分が将来どのように建築へ関わりたいのかを考えてみること。建築家や設計者を目指している学生はもちろん、「不動産開発って実際には何をしているんだろう」「設計以外の建築キャリアも知ってみたい」という学生にも参加しやすいプログラムです。
開催は2026年9月3日(木)・4日(金)の1泊2日。参加対象は、建築やデザインを学ぶ学部の大学生・大学院生で、募集人数は20名です。応募状況によって若干変更となる可能性があり、募集人数以上のエントリーがあった場合には抽選が予定されています。
参加費は無料で、交通費も支給されます。また、初日は昼食・夕食、2日目は朝食・昼食付き。交通費等の精算については参加確定後に案内されるため、主催者から参加確定の連絡があるまでは交通機関の手配等を進めないよう注意してください。

エントリー締切は2026年8月26日(水)18:00。普段の設計課題とは違う角度から建築を考えてみたい学生にとって、大学の外で「設計すること」と「事業をつくること」の関係に触れられる2日間となりそうです。
・建築やデザインを学んでいる大学生・大学院生
・大学の設計課題とは違う、実務的な建築を経験したい方
・不動産開発やデベロッパーの仕事に興味がある方
・「建築×ビジネス」という考え方を学びたい方
・建築費や収支計画、事業性について知りたい方
・設計だけでなく、企画や事業開発にも関心がある方
・建物がどのような仕組みで実現するのかを知りたい方
・設計事務所以外の建築キャリアについて考えてみたい方
・全国の建築学生と交流してみたい方
・これからの建築業界でのキャリアを考えるきっかけが欲しい方
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